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2013年5月から6月にかけて、茨城県立歴史館で『翠軒・杏所・春沙 ―文人三代の血筋と作品―』展が開催されました。ちなみに立原翠軒と杏所は、夭折の抒情詩人・立原道造の近い祖先にあたります。立原道造は、絵画作品も遺しています。
本紙に経年なりの軽いヤケはありますが、目につくような傷みはありません。また、額も経年なりの軽いヤケはありますが、目につくような傷みはありません。本紙サイズ:29.1㎝×29.4㎝。台紙サイズ:31.3㎝×32.9㎝×0.2㎝。額サイズ:55.9㎝×55.7㎝×2.4㎝。額の前面にガラスがあります。掲載の画像でご確認のうえ、入札をご検討ください。発送は、クロネコヤマト宅急便(送料着払い)とさせていただきます。
【付け立て法・没骨(もっこつ)法】
たとえば、植物の花や茎や葉などを描き表すときに輪郭線を用いず、墨または多彩な色の面によってその形を一気に描き上げる技法です。筆さばきの効果を最大限に活かすことで、濃、淡、潤、渇、遅、速など多彩な表現が可能となります。本作では、葉ごとに色合いを微妙に変えたうえ、濃・淡・潤・渇を活かして生き生きとさせた葉と簡潔な花びらの描写に、卓越した技量による凝縮された豊かな表現を見てとることができます。
なお、商品説明に真作保証と記載のない作品は模写作品として出品しております。また、評価=新規の方や評価に「落札者都合による落札拒否」の事歴が多い入札者は終了前に入札を削除いたします。また、海外へ転売するために落札する業者または落札代行業者の方とは取引きいたしません。落札終了後は取引メッセージを通じて連絡いたしますが、落札日から3日以内に落札手続きがない場合は次点の方を繰り上げさせていただきます。落札しておいて連絡も手続きもしない方は、ブラックリストに登録しますので、当方への入札は以後できなくなります。非常識な低い入札額で終了しそうな場合は、終了間際に出品を取り消しいたします。領収書は、発行いたしません。
立原春沙(たちはら・しゅんさ) 文政元(1818)年~安政5(1858)年
文政元(1818)年、立原杏所(きょうしょ)の長女として、水戸江戸藩邸で生まれる。名は栗・春子、字は沙々、春沙は号。当時、翠軒が門人に宛てた書簡に「孫娘は春日の誕生ゆへに当座にはると名付申候」とあり、「春」の命名は春日に生まれたためだとわかる。幼い頃から父祖より書画を学び、やがて杏所と関係の深かった渡辺崋山に弟子入りする。
崋山が春沙に宛てた手紙が残っており、春沙が両親の手伝いに忙しく画に没頭できないもどかさを崋山に相談すると、崋山は「絵を描くことと世の中の俗事を別々に考えているからもどかしく感じるのです。私はどちらも分かち難く結びついていると考えます。これはこじつけの理屈のようですが、そう割り切ら無くては、芸などというものは天下無用のガラクタになってしまいます。ですから、ご両親に仕えて親孝行をしている時は、一幅の「孝経図」を描いていると思ってご覧なさい。絵を描いている時は教典に倣っているのだと思ってご覧なさい」と、修身と画道の追求は表裏一体だと説いている。
こうした崋山の薫陶の成果か、天保7(1836)年版の『江戸現在廣益諸家人名録』には、父と共に名前が掲載されており、22歳ですでに画名が世に認められている。その評判を聞いた文人たちが春沙に結婚を求めることも多かったが、春沙はこれを笑って断り、生涯結婚しなかった。
天保10(1839)年、加賀藩13代藩主・前田斉泰の正室・溶姫の侍女になり、彼女に17年間仕えた。溶姫とは春沙の方が1つ下と歳が近く、溶姫自身も絵を嗜み両者の関係は良好だったと想像できる。また春沙は、溶姫の後ろ盾によって独身で画を追求できたとも考えられる。江戸城大奥で着色の花鳥図襖絵を描き、将軍御台所より筆勢の素晴らしさを賞賛されたとも言われる。また、月琴にも長じたという。安政5年(1858)歿。享年41歳。
東京都文京区向ヶ丘2丁目の(本馬込の)菩提寺・海蔵寺にあるお墓に祖父の立原翠軒と祖母の塩と一緒に埋葬されているが、1994年には茨城県水戸市六段田にある立原家一族の菩提寺・六地蔵寺の墓にも埋葬された。
【作品所蔵館】
茨城県立歴史館「菊図」、田原市博物館「野菊図」
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